放浪する少年たち。
放浪する少年ふたりがバスの中で丸くなるように寝ていた。
どう人を欺くか、
少年らしからぬ会話と
欺かざるをえない状況なのが見て取れた。
偽りの事実を二人のなかで真実に錬金し、
明日の生活を確保する。
そうしなければ生きてゆけない。
一人が身を起こしイルミネーションが彩る街を眺めて
もう嘘なんかつきたくない
と言葉をこぼした
もう一人は聞こえているだろう
だが、うなだれたまま空中を見つめる。
本当は嘘なんか大嫌いなんだけどね
また一言言葉を放つ。
それは誰に向けてでもない自分に向けた言葉のようだった。
バスが揺れ車内の蛍光灯がちらついた。
一瞬の明滅のあいだに
二人の少年が消えてしまいそうな
そんなあやふやでひ弱な存在。
少年たちはうなだれたまま。
機械的な女性の声が渋谷への到着をつげた。
極東の島国で漂流する。
漂流するのは少年たちの未来。